Excel・事務効率化 / 公開 2026/10/19
Excelの関数・数式をAIに作ってもらう方法|ChatGPT・Copilot・Geminiの精度と限界
ExcelのVLOOKUP・XLOOKUP・SUMIFSなどの数式をChatGPT・Microsoft Copilot・Google Geminiに作ってもらうときの向き・不向き、プロンプトの書き方、AI生成の数式によくある間違いと検証の進め方を解説します。
AIに数式を作ってもらう5ステップ
- 1条件を箇条書きで整理する「何を」「どの条件で」「どこに出すか」を先に言葉にする
- 2使うAIツールを選ぶChatGPT/Copilot/Geminiのどれを使うか決める
- 3列名やセル範囲を含めて指示する抽象的な説明だけでなく、実際の列名・範囲を伝える
- 4テスト用データで検証する本番シートではなくコピーで動作を確認する
- 5本番へ反映し結果を確認する件数・合計値など、別の方法でも検算する
「VLOOKUPの引数が思い出せない」「SUMIFSで3つ条件を組み合わせたいが書き方が分からない」。こうした場面で、ChatGPTやCopilotに数式を作ってもらう人が増えています。実際、関数の構文を覚える必要がなくなる分、作業は速くなります。一方で、AIが作った数式をそのまま使い、後から参照範囲のズレや関数の互換性の問題に気づくケースも見られます。
この記事では、Excelの関数・数式をAIに作ってもらう際に、ChatGPT・Microsoft Copilot・Google Geminiがそれぞれ何に強く、何が弱いかを具体的に整理し、実際のプロンプト例とよくある間違いを紹介します。
3つのAIツールの違い
同じ「AIに数式を作ってもらう」でも、ツールによってできることが異なります。
ChatGPT(Web版)
ChatGPTは基本的に、こちらが文章で説明した条件から数式を組み立てます。実際のシートを見ているわけではないため、列名やセル範囲は自分で伝える必要があります。関数の一般的な知識は豊富で、複雑な条件分岐でも筋の通った数式を提示してくれますが、こちらがExcelのバージョンを伝えないと、XLOOKUPのような比較的新しい関数を前提にした数式を出してくることがあります。社内に古いバージョンのExcelが混在している場合は、使っているバージョンを明示して聞くことをおすすめします。
Microsoft Copilot(Excel内)
CopilotはExcelのシート内で動作するため、実際に選択した範囲や列を参照しながら数式を提案できる点が強みです。ただし、利用にはMicrosoft 365の対応するCopilot契約が前提になっており、買い切り版のExcelでは使えない場合があります。また、条件が複雑になるほど提案を途中で止めてしまう、あるいは期待と違う範囲を参照することもあり、過信せず結果を確認する必要があります。
Google Gemini(Google Sheets内)
GeminiはGoogle Sheets向けの数式(ARRAYFORMULA、QUERYなど)を前提にした提案に強みがあります。注意したいのは、ExcelとGoogle Sheetsで関数名や区切り文字の扱いが微妙に異なる点です。ChatGPTに「スプレッドシートの数式」とだけ伝えると、Excel用とSheets用のどちらの文法で返ってくるか分からないことがあるため、「Excelで使う数式」「Google Sheetsで使う数式」と明示して聞くことが重要です。
具体例:3条件のSUMIFSを作ってもらう
「支店名が東京、商品カテゴリが食品、日付が今月分」の売上合計を求める数式を例に、プロンプトと結果を見てみます。
プロンプト例
Excelで次の数式を作ってください。
- シート名:売上明細
- A列:支店名、B列:商品カテゴリ、C列:日付、D列:売上金額
- 条件:支店名が「東京」、商品カテゴリが「食品」、日付が2026年10月1日から10月31日
- 上記に一致する行のD列の合計を、別シートのB2セルに表示したい
- Excelのバージョンは2021です
生成される数式の例
=SUMIFS(売上明細!D:D, 売上明細!A:A, "東京", 売上明細!B:B, "食品",
売上明細!C:C, ">="&DATE(2026,10,1), 売上明細!C:C, "<="&DATE(2026,10,31))
この数式自体は妥当ですが、D:Dのように列全体を参照範囲にしていると、行数が多いシートでは計算が遅くなることがあります。実際に使う際は、データが入っている行数に合わせてD2:D5000のように範囲を絞るよう、AIに指示を追加するか自分で調整するとよいでしょう。
AI生成の数式でよくある3つの間違い
| 間違いのパターン | 起こりやすい原因 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 絶対参照・相対参照の取り違え($の付け忘れ) | 条件を一つのセルに書き、それを下へコピーする前提を説明していない | 数式をコピーして複数行に適用し、参照がずれていないか確認する |
| 関数がExcelのバージョンに存在しない | 使っているExcelのバージョンを伝えずに聞いている | XLOOKUP、TEXTJOINなど比較的新しい関数が出てきたら、自社のバージョンで使えるか確認する |
| 区切り文字や日付形式の違い(カンマとセミコロン、日付の年月日順) | 地域設定やGoogle Sheets用の文法が混在している | 数式バーに貼り付けてエラーが出ないか、まず確認する |
検証にかかる時間の目安(あくまで目安)
AIが作った数式は、貼って終わりではなく検証が必要です。次の時間感覚は実測ではなく、あくまで目安としての参考値です。
- 単純な数式(1〜2条件のVLOOKUPやIFなど)の動作確認:数分程度
- 3条件以上のSUMIFSや配列数式の検証:10〜20分程度
- 既存の集計表全体へ組み込み、過去データで結果を照合する作業:30分〜1時間程度
条件が増えるほど検証に時間がかかるため、「複雑な数式を一度に作ってもらう」のではなく、「条件を1つずつ追加しながら確認する」方が、結果的に早く仕上がることが多いです。
数式では対応しにくい場合
数式でのAI活用は、条件が1〜2個の抽出・集計には向いていますが、次のような場合は数式に頼らない方法を検討した方がよいと考えています。
- 複数ファイルを毎月まとめて集計する場合:数式は列や行が増えるたびに範囲を手動で直す必要があり、ファイル数が増えると破綻しやすくなります。この場合はPower Queryで取り込みから整形までを仕組み化する方が保守しやすくなります。進め方はExcelの毎月集計を自動化する方法で解説しています。
- 同じ転記処理を繰り返す場合:数式は「シートを開いて結果を見る」という前提の仕組みなので、定期的に自動実行したい場合には向きません。Excelの転記作業を自動化する方法で、仕組み化の進め方を紹介しています。
- 複数ファイルの形式がそろっていない場合:数式で無理に対応しようとすると、例外処理のための数式が積み重なり、誰も保守できない状態になりがちです。CSV統合とデータ整形の進め方で、先に形式をそろえる考え方を紹介しています。
まとめ
ExcelのAI活用は、まず「関数を思い出す手間を減らす」ところから始めるのが現実的です。ただし、AIが出した数式をそのまま信じるのではなく、バージョンの互換性、参照範囲、区切り文字の3点は必ず自分の目で確認してください。条件が増えて数式が読みにくくなってきたら、数式にこだわらずPower Queryなど別の仕組みへ切り替えるタイミングと考えるとよいでしょう。
数式だけでなく業務全体の自動化を検討したい場合は、Excel・事務自動化ガイドもご覧ください。自社の状況に合わせて相談したい方は、Excel・事務作業の無料相談もご利用ください。
よくある質問
- Microsoft CopilotはどのExcelでも使えますか?
- Copilotの数式支援は、Microsoft 365のサブスクリプションと対応するCopilotの契約が前提になっています。買い切り版のExcelや古いバージョンでは利用できない場合があるため、自社が使っているExcelの契約形態を確認してから検討してください。
- ChatGPTに自社の売上データや顧客データをそのまま貼って数式を聞いても大丈夫ですか?
- 数式の作成自体に実データは不要です。列名や架空のサンプル値を使って条件を説明すれば、実際の顧客情報や金額を入力せずに数式を作ってもらえます。生成AIに入力してよい情報の範囲は、[生成AIを会社で利用するときの注意点](/blog/security/)で整理しているルールを参考にしてください。
- AIが作った数式が複雑すぎて自分では直せません。どうすればいいですか?
- 直せない数式は、将来誰も保守できなくなるリスクがあります。AIに「この数式を、1行ずつ説明しながらもう少し単純な形に分けてください」と頼み直すか、条件が3つ以上絡む場合は数式ではなくPower Queryへの切り替えを検討した方が、長期的には保守しやすくなります。