Excel・事務効率化 / 公開 2026/10/13
受け取った請求書・納品書の処理を自動化する方法|入力と確認の負担を減らす
取引先から届く請求書・納品書の受領からデータ入力、確認までにかかる手作業を自動化する前に整理したい条件と進め方を解説します。
取引先から届く請求書や納品書を確認し、金額や品目をExcelや会計システムへ入力し、既存の注文内容と照合する。経理・事務担当者にとって、こうした「受け取った書類の処理」は、1件あたりの作業は単純でも、件数が多くなるほど時間を圧迫しやすい業務です。
受け取った請求書・納品書の処理は、書類の受領経路、書式の種類、入力先が整理できれば、自動化を検討しやすい業務のひとつです。ただし、取引先ごとに書式が異なる、紙やFAXでの受領が残っているなど、自社で作成する書類とは異なる条件が関わるため、対象を絞って小さく始めることが重要になります。
受け取った書類の処理で時間がかかりやすい作業
請求書・納品書の受領処理では、次のような作業が積み重なります。
- メール添付やFAX、郵送など、複数の経路で届く書類を確認する
- 書類に記載された取引先名、日付、金額、品目を目視で読み取る
- 読み取った内容をExcelや会計システムへ入力する
- 発注内容や納品予定と金額・数量が一致しているか照合する
- 入力ミスや記載漏れがないか確認する
- 承認者へ回し、承認後に支払いや仕訳の処理へ進める
自社で発行する見積書・請求書の作成とは異なり、受け取る書類は取引先ごとに書式も届き方も異なるため、担当者の経験に頼った確認作業になりやすい点が特徴です。
自動化を検討しやすい条件
次のような条件がそろっている場合、受領処理の自動化を検討しやすくなります。
電子データで届いている
PDF添付やメール本文など、電子データとして受け取っている書類は、画像を撮り直す必要がなく、読み取りの精度を確保しやすい傾向があります。紙やFAXで届く書類は、スキャンという工程が1つ増えるため、電子データでの受領が多い取引先から優先して検討するとよいでしょう。
主要な取引先の書式が決まっている
すべての取引先の書式がバラバラだと、1件ごとに読み取り設定を作る必要があり、準備の負担が大きくなります。取引件数の多い取引先から順に、書式のパターンを整理すると対象を絞りやすくなります。
入力先と項目が明確である
読み取った内容をどのシステムやExcelのどの列へ入力するか、あらかじめ対応関係を説明できる場合は、自動化の設計がしやすくなります。入力先ごとに必須項目が異なる場合は、先に項目を整理しておく必要があります。
照合・承認のルールが決まっている
発注内容や納品予定とどのように照合しているか、誰が承認しているかが明確であれば、自動化後もどこで人が確認するかを設計しやすくなります。
自動化の前に整理する5項目
1. どの経路で届いているか
メール、FAX、郵送、取引先の専用システムなど、受領経路を取引先ごとに洗い出します。経路が多いほど対応が複雑になるため、件数の多い経路から優先順位をつけます。
2. 書式の種類がどれくらいあるか
取引先ごとの書式を集め、記載項目の位置や名称の違いを確認します。同じ取引先でも書類の種類(請求書・納品書・見積書)によって書式が異なる場合があります。
3. どの項目を、どこへ入力しているか
金額、日付、取引先名、品目など、入力している項目と入力先(Excelの列、会計システムの項目など)の対応を整理します。
4. どのように照合・確認しているか
発注内容や納品予定との照合方法、金額が一致しない場合の対応、承認者とその基準を確認します。担当者の経験に基づく判断がある場合は、その基準を言葉で説明できるか確認します。
5. 例外が起きたときにどうするか
書式が崩れている、記載内容が不明瞭、取引先名の表記が揺れている、といった例外への対応方針を決めます。例外を無視せず、確認が必要な書類として残す仕組みが必要です。
導入の進め方
手順1:直近数か月分の受領書類を集めて分類する
実際に届いた請求書・納品書を取引先別、書式別に分類します。件数の多い取引先・書式から対象にすることで、準備の負担を抑えられます。
手順2:対象を電子データ受領のものに絞る
最初の対象は、PDF添付やメール本文など電子データで届く書類に絞ります。紙やFAXでの受領は、電子データでの運用が安定したあとに検討する方が無理がありません。
手順3:テスト用データで読み取り精度を確認する
実際の書類(個人情報や機密情報を含む場合は取り扱いに注意したうえで)を使い、金額や品目が正しく読み取れるかを確認します。読み取り誤りが多い項目は、人が確認する工程として残します。
手順4:人の確認を残して運用する
導入直後は、読み取った内容を担当者が確認してから会計システムへ反映する流れにします。運用が安定してから、確認する範囲を見直します。
自動化しない方がよい場合
次のような場合は、自動化よりも先に受領方法や社内ルールの整理が必要です。
- 紙・FAXでの受領が大半を占め、電子化が進んでいない
- 取引先ごとの書式が頻繁に変わる
- 金額の照合基準や承認フローが担当者によって異なる
- 記載内容が手書きで判読しにくい書類が多い
この状態で自動化を進めると、例外対応に時間がかかり、確認の手間が減らない場合があります。まずは取引先への電子データでの送付依頼や、社内の承認ルールの統一から始める方が効果的なこともあります。
既存の会計システムを残したまま始められる
受領処理の改善のために、現在使っている会計システムやExcelを別のものに置き換える必要はありません。受領書類の読み取りと、既存システムへの入力の間だけを自動化する方法もあります。
自社で発行する見積書・請求書の作成を効率化したい場合は、定型書類・PDF作成を自動化する方法もあわせてご覧ください。受け取ったデータをExcelへ転記する作業が多い場合は、Excelの転記作業を自動化する方法も参考になります。Excel・事務作業全体の対象業務は、Excel・事務作業自動化支援、Excel・事務自動化ガイドで確認できます。
30分の無料相談
「取引先からの請求書処理をどこから自動化できるか知りたい」という段階でも相談できます。30分の無料相談では、受領経路、取引先の書式の種類、現在の確認・承認の流れを伺い、自動化できそうな部分と先に整理すべきことを整理します。
よくある質問
- 取引先ごとに書式が違う請求書でも自動化できますか?
- 取引先ごとに書式が異なる場合でも、各取引先の書式を個別に読み取る設定を用意できれば対応できます。ただし書式の種類が多いほど準備に時間がかかるため、まずは件数の多い取引先から対象を絞ることをおすすめします。
- 紙やFAXで届く請求書も対象にできますか?
- 紙やFAXで届く書類は、スキャンして画像やPDFに変換したうえで読み取る必要があります。電子データ(PDF添付やメール本文)で届く請求書に比べて精度の確認に時間がかかる傾向があるため、優先度を分けて検討することをおすすめします。
- 読み取った内容をそのまま会計システムへ反映できますか?
- 読み取った内容を会計システムへ取り込む形にすることは可能ですが、金額や取引先名などの重要項目は、反映前に人が確認する工程を残すことをおすすめします。