業界別AI / 公開 2026/10/1
コールセンターの品質管理にAIをどう使うか|従来の確認方法との比較
コールセンターの品質管理をAIで補う方法と、従来の抽出確認との違いを比較しながら、導入時に検討したい範囲と注意点を解説します。
コールセンターの品質管理は、応対品質を保ち、改善につなげるための重要な業務ですが、確認できる件数には限りがあります。抽出した一部の通話を聞いて評価する方法が一般的ですが、全体の傾向を把握しきれない、評価者によって基準が揺れる、といった課題を抱えている現場も少なくありません。
この記事では、従来の品質管理の方法と、AIを活用した場合の違いを比較しながら、どこまでをAIに任せ、どこを人が担うかを整理します。
従来の品質管理で起きやすい課題
多くのコールセンターでは、次のような方法で品質管理を行っています。
- 一定割合の通話をランダムに抽出し、担当者が聞いて評価する
- NGワードの使用や対応手順の遵守を、聞き取りながらチェックする
- 評価結果を集計し、オペレーターへフィードバックする
- 問い合わせ傾向をもとに、FAQやマニュアルを見直す
この方法には、次のような課題があります。
- 確認できる件数が限られ、全体の傾向をつかみにくい
- 評価者によって基準や感じ方にばらつきが出やすい
- 通話を聞き直す時間がかかり、フィードバックが遅れがちになる
- 問い合わせ傾向の集計が、担当者の手作業に依存している
従来の方法とAI活用の比較
確認できる件数
従来は抽出確認が中心ですが、通話内容をテキスト化・要約しておくことで、文章として目を通せる件数が増えます。すべてを均等に確認するのではなく、特定のキーワードを含む通話や、対応時間が長い通話を優先して確認するといった使い方もできます。
評価の基準
従来は評価者の感覚に基づく部分が大きくなりがちですが、キーワードの有無や対応手順の確認項目など、機械的に拾える部分をAIで補助することで、評価のばらつきを減らす助けになります。ただし、対応の丁寧さや言葉選びなど、数値化しにくい部分の最終判断は人が担う必要があります。
フィードバックの速さ
従来は通話後にまとめて確認するため、フィードバックまで時間がかかることがあります。要約や記録の下書きをAIが作成できれば、管理者が確認する時点までの時間を短縮できる場合があります。
傾向の把握
従来は集計作業そのものに時間がかかり、傾向分析が後回しになりがちです。通話内容を要約データとして蓄積しておくと、問い合わせの多い内容や対応に時間がかかっている分野を把握しやすくなります。これはFAQやマニュアルの改善にもつながります。
品質管理でAIに任せやすい範囲
次のような業務は、AI活用を検討しやすい領域です。
- 通話内容の文字起こしと要約の下書き作成
- 特定のNGワードや確認必須事項の有無のチェック
- 問い合わせ内容のカテゴリ分類
- 対応時間や通話傾向の集計
これらは、評価そのものを自動化するのではなく、評価者が確認する前の情報整理を担う位置づけです。音声データの扱い方については、音声文字起こしを業務で使う方法もあわせてご覧ください。
人が確認すべき範囲
一方で、次のような判断は、人が最終的に行うことをおすすめします。
- オペレーターの評価そのもの、および人事評価への反映
- 言葉選びや対応の丁寧さなど、数値化しにくい品質の判断
- NGワード検出などの結果をどう指導につなげるかの方針
- 顧客からのクレームなど、個別対応が必要な通話への対応方針
AIの出力はあくまで確認作業を補助するものと位置づけ、最終的な評価や指導は人が行う構成にすることで、納得感のある品質管理を保ちやすくなります。
導入を検討する際の進め方
手順1:現在の品質管理の方法を書き出す
誰が、どのくらいの件数を、どのような基準で確認しているかを整理します。確認に使っている時間も合わせて把握しておくと、効果を測る基準になります。
手順2:負担が大きい工程を特定する
通話を聞き直す時間、要約を作成する時間、集計作業の時間など、どこに最も時間がかかっているかを特定します。すべてを一度に変えるのではなく、負担の大きい工程から検討します。
手順3:小さな範囲で試す
特定のチームや一部の期間に限定して、通話の要約作成やキーワード抽出を試します。従来の評価結果と比較しながら、精度や使い勝手を確認します。
手順4:評価者の運用に組み込む
試した結果をもとに、評価者が実際にどのように使うかを決めます。AIの出力をそのまま使うのではなく、確認・修正する流れを明確にします。
導入前に確認しておきたいこと
- 通話内容や評価データの保存期間、アクセス権限が整理されているか
- 個人情報を含む音声・テキストデータの取り扱いルールがあるか
- 評価にAIの出力を用いる場合、オペーレーターへの説明方法を決めているか
- 評価基準そのものが、現状のままで明確になっているか
これらが曖昧なまま進めると、確認作業は減っても、評価への納得感が得られない結果になりかねません。コールセンター全体のAI活用の考え方は、コールセンターにAIを導入する方法で、通話後の自動化についてはコールセンターの後処理を自動化する方法で詳しく紹介しています。
まとめて検討したい場合
品質管理だけでなく、通話前・通話中・通話後を含めたコールセンター全体の業務から、どこにAIを活用できるかを整理したい場合は、Domani LuceのコールセンターAI導入支援をご覧ください。導入の全体像はコールセンターAI導入ガイドでも確認できます。
30分の無料相談で確認できること
「品質管理のどこからAIを使えるか分からない」という段階でも相談できます。30分の無料相談では、現在の評価方法や確認にかかっている時間を伺い、検討できそうな範囲を整理します。
よくある質問
- AIを使うと全件の通話を確認できますか?
- 通話内容をテキスト化・要約することで、全件に目を通しやすくなります。ただし、最終的な評価や指導の判断は人が行う構成にすることをおすすめします。
- 品質管理にAIを使う場合、何から始めればよいですか?
- 評価そのものを自動化するのではなく、通話記録の要約やキーワード抽出など、確認作業の負担を減らす範囲から始めることを検討してください。
- 個人情報を含む通話データを扱っても問題ありませんか?
- 通話には個人情報が含まれるため、利用目的や保存期間、アクセス権限などの取り扱いルールを事前に整理したうえで検討する必要があります。