通話が終わるたびに、内容を思い出しながら要約を書き、対応履歴へ入力する。この作業は1件あたりの時間は短くても、対応件数が多いコールセンターでは積み重なって大きな負担になります。通話内容をAIで要約できれば、この入力作業の下書きとして使え、担当者は確認と修正に専念できます。

ただし、AIによる要約は「話した内容をすべて短くする」仕組みではなく、どの項目を、どの粒度でまとめるかという設計によって使いやすさが大きく変わります。この記事では、通話要約AIの仕組み、精度を左右する条件、導入前に決めておきたい項目を解説します。

通話要約AIとは

通話要約AIとは、通話の音声やテキスト化された内容から、対応内容の要点を自動でまとめる仕組みです。多くの場合、通話全体をそのまま短縮するのではなく、あらかじめ決めたテンプレート(問い合わせ種別、対応結果、次のアクションなど)に沿って、該当する内容を抜き出して整理する形で動作します。

要約のもとになるデータは、通話のリアルタイム文字起こし、または通話後にまとめて処理する事後文字起こしです。文字起こし自体の仕組みは音声文字起こしを業務で使う方法で解説しています。

要約が役立つ場面

後処理の下書き作成

対応履歴への入力は、要約の下書きがあることで、ゼロから文章を考える手間を減らせます。後処理全体の自動化についてはコールセンターの後処理を自動化する方法で詳しく紹介しています。

管理者の傾向把握

個々の要約を蓄積しておくと、問い合わせの多い内容や対応に時間がかかっている分野を、通話を聞き直さずに把握しやすくなります。品質管理での活用はコールセンターの品質管理にAIをどう使うかで解説しています。

担当者間の引き継ぎ

一次対応で解決しない内容を別の担当者へ引き継ぐ際、要約を共有することで、口頭での説明や通話の聞き直しにかかる時間を減らせます。

要約の精度を左右する条件

元データの質

要約は文字起こしされたテキストをもとに作成されるため、文字起こし自体の精度が低いと、要約にも誤りが反映されます。雑音の多い通話環境や、専門用語・社内用語が多い対応では、まず文字起こしの精度を確認する必要があります。

要約テンプレートの明確さ

「要点をまとめてください」という指示だけでは、通話ごとに要約の粒度や項目がばらつきます。問い合わせ種別、対応結果、次のアクションなど、記録すべき項目を事前に決めておくことで、要約の一貫性が保たれます。

話者と発言の区別

オペレーターと顧客のどちらの発言かを区別できないと、要約が実際の対応内容と異なる形でまとめられることがあります。話者を区別できる文字起こしと組み合わせることが前提になります。

要約を設計する際に決める項目

1. 何を要約に含めるか

問い合わせ種別、対応結果、次のアクション、クレームの有無など、対応履歴に記録している項目を基準に、要約へ含める内容を決めます。すべての通話で同じ項目を使うのか、問い合わせ種別によって項目を変えるのかも検討します。

2. どの粒度でまとめるか

数行で収める簡潔な要約にするか、経緯を含めた詳細な要約にするかは、業務によって異なります。クレームや特殊対応など慎重な記録が必要な通話は、簡潔な要約よりも経緯を残す形が適している場合があります。

3. 誰が、いつ確認するか

要約を下書きとして扱う場合、誰が、どのタイミングで内容を確認し、確定するかを決めます。確認のタイミングを明確にしないまま運用すると、未確認の要約がそのまま蓄積されるおそれがあります。

4. 精度が低い場合の運用

重要な内容が抜け落ちている、言い回しが実際の対応と異なるといった場合に、担当者がどう修正するかをあらかじめ想定しておきます。想定がないまま導入すると、現場での対応にばらつきが出やすくなります。

要約を導入する手順

手順1:現在の要約作成作業を書き出す

現在、通話後にどのような項目を、どのくらいの時間をかけて記録しているかを書き出します。項目によって記録にかかる時間が異なる場合は、負担の大きい項目から優先して検討します。

手順2:要約テンプレートを決める

対応履歴に記録している項目を基準に、要約に含める項目と順序を決めます。問い合わせ種別ごとにテンプレートを分けるかどうかも、この段階で検討します。

手順3:一部の通話で試す

限られた件数で要約を試し、抜け漏れや言い回しの違いがないかを確認します。通常の対応だけでなく、クレームや長時間の対応など、要約が難しくなりやすい通話でも確認します。

手順4:運用ルールを決めて範囲を広げる

確認・修正の流れが安定して運用できることを確認しながら、対象とする通話の種類や件数を段階的に広げていきます。

要約だけで終わらせない

通話要約は、それ単体で完結する取り組みではなく、後処理全体の自動化や、通話中のオペレーター支援と合わせて検討すると効果が見えやすくなります。通話中の支援についてはオペレーター支援AIの設計、電話対応全体でAIを活用できる範囲については電話対応はAIでどこまで自動化できる?もあわせてご覧ください。

まとめ

通話要約AIは、通話内容を自動で短くする仕組みというより、あらかじめ決めた項目に沿って対応内容を整理する仕組みです。元データとなる文字起こしの精度、要約テンプレートの項目、確認・修正の運用をあらかじめ決めておくことで、後処理や引き継ぎ、傾向把握の負担を無理なく減らせます。

自社の通話内容や対応履歴の記録方法からどこまで検討できそうかは、Domani LuceのコールセンターAI活用支援で整理しています。導入の進め方全体はコールセンターAI導入ガイドもご参照ください。

30分の無料相談で確認できること

「通話後の記録作業に時間がかかっているが、要約をどう設計すればよいか分からない」という段階でも相談できます。30分の無料相談では、現在の対応履歴の記録項目と所要時間を伺い、要約の設計で検討できそうな範囲を整理します。

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よくある質問

通話要約はどのくらいの精度で使えますか?
通話環境や話し方、要約テンプレートの明確さによって精度は変わるため、一概には言えません。目安として、まず一部の通話で試し、要約に抜け漏れがないかを確認しながら活用範囲を判断することをおすすめします。
要約をそのまま対応履歴として確定してよいですか?
重要な内容が抜け落ちている可能性があるため、AIが作成した要約は下書きとして扱い、担当者が確認・修正してから確定する運用が安心です。
要約の項目はどのように決めればよいですか?
問い合わせ種別、対応結果、次のアクションなど、現在対応履歴に記録している項目を基準にすると、既存の業務フローを大きく変えずに導入しやすくなります。

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